イケガク スタッフブログ

マンドリン・ギター専門店「イケガク」のスタッフによるブログです。新着情報やイベントのご案内、マンドリン・ギターに関するお役立ち情報などお知らせしていきます。

黒澤哲郎ギター工房訪問

去る2017年12月22日。
営業主任・平山、修理職人・堀ノ江、ギター担当の名取と私、國分の4人で黒澤哲郎さんの工房にお邪魔してきました!

黒澤哲郎ギターユーザーの國分は、憧れの製作家さんにお会いすることができて天にも昇る思いでした……。
楽器を手にした2014年には、まさか製作家さんに直接お会い出来るなんて露ほども思っていませんでした。


黒澤哲郎さんのご紹介をさせて頂きます!
哲郎さんはお父様黒澤澄雄さんの代から続くギター工房の二代目。
澄雄さんのもとで修業を積まれたのちにスペインへ留学され、
テサーノス(Mariano Tezanos)、ペレス(Teodoro Perez)先生方の工房にて製作研究、
アントニオ・マリーン(Antonio Marine)先生のもとで塗装を学ばれたそうです。

製作は全ての工程を哲郎さんご本人が手掛けられており、出荷されるギターは月に数本ほど。
スペインギターの伝統的な製法による作品はプロギタリストからも高い評価を得ています。

また、近年では著名なフラメンコギタリスト沖仁さんとコラボレートし、
フラメンコギター沖仁モデル「ネグラ」「ブランカ」を製作されるなど、目覚しいご活躍をされています!

プライベートではフラメンコダンスとボクシングに打ち込まれ、世界大会で賞を受賞するほどの実力だそう。
何事にも妥協せず、また楽しまれている姿勢がうかがえます。


まずは工房見学をさせていただきました。
イケガクスタッフにとっても工房見学はビッグイベントです!
ドキドキしながら、哲郎さんの工房に足を踏み入れたのでした。

哲郎さんの工房は2階建て(中2階あり)でした。

1階には材料の切り出し、整形をする大きな機械がその体を横たわらせていました。
こちらは表面板の厚さを調整する機械。高速で回るヤスリに木を挟ませて整形していくようです。


また、木材に狂いが無いようシーズニング(乾燥)を行う小部屋が別に備え付けられていました。
中では徹底した湿度管理のもと、ネック材や指板材などの木材がギターになる日を今か今かと待ち構えていました。

次は中二階。勾配の急な階段を登ると、またまた大量の木材が…!!

仕入れた材料はまずここで乾燥をさせるそうです。
中にはギター愛好家垂涎の貴重な木材もありました…!
いまでは使わなくなった胴板の型などもあり、哲郎さんの研究が日々進化していることを感じざるを得ませんでした。

哲郎さんがギター製作につかっている機材や材木についてお話を伺うことができました。

















哲郎さんのお父様である澄雄さんがお若い頃には、ギター製作に使う機材は高価なものでした。
一人一台を所有することは難しく、ギター製作家仲間同士で同じものをつかっていたりもされていたようです。
こちらは胴材を曲げる機械。


哲郎さんはクラシックギターのみならず、フラメンコギターも製作されています。
両者のギターでは音楽性や音響を考慮して力木の配置やネックの材木を変えてあることなど、
実際に製作途中のものを見せてもらいながらお話を伺いました。

哲郎さんにお話を伺いながらたくさんの木材を見せてもらいました。
表板に使う良い木とは、目が詰まっていてコシがあるもの。
この「コシ」の感覚をつかむのが難しく、約1時間かけ、硬さを備えつつ柔軟さを兼ね備えた木を選びました。


哲郎さんと、選んだ材料とともに写真を撮りました。
名取が持っているのが希少なハカランダ(ブラジリアンローズウッド)、國分が持っているのがローズウッドです。



というわけで、この度、黒澤哲郎さんにギターの製作をお願いいたしました!!
今回発注致しましたのはクラシックギターの歴史の中でも名高い「マヌエル・ラミレス」を研究し製作された、黒澤哲郎さんの新境地である2モデルです!!


マヌエル・ラミレスモデル La infanta ラ インファンタ


表板:スプルース
裏板:ローズウッド
弦長:650mm
裏板は木目の美しさと強度を考慮して選びました。(國分)


マヌエル・ラミレスモデル La patrona ラ パトローナ

表板:スプルース
裏板:ハカランダ
弦長:650mm
ハカランダ特有の杢目模様と左右対称の美しさをご覧いただきたいです!(名取)

こちらのギターは9月入荷!近日公開予定です!!